さて今回は、深刻な社会問題であり、わたしがこのサイトを立ち上げるきっかけにもなった「育児放棄|ネグレクト」についてのお話です。
育児放棄や児童虐待については、個人的にいろいろとお話ししたいことがたくさんあるのですが…
まず今回は、育児放棄とはなにか?ネグレクトにはどんな種類があり、どんな原因があるのか?
また、育児放棄や虐待などの悲しい事件を少しでも減らすために、どのような解決策や対策があるのか?をまとめさせていただきました。
目次
育児放棄(ネグレクト)とは?
「育児放棄」は育児怠慢やネグレクトなどともよばれ、保護者がその子どもに「適切な養育」をおこなわないことを差します。
泣く子をあやさずほったらかしにしたり、必要な食事をあたえなかったり、寒空のもとに長時間にわたり放置するなど…子どもの心と体が健康的に成長するのを妨げる行為のことです。
育児放棄は文字どおり“子育てを放棄する”ことですが、暴力などによる虐待よりもよほど子どもの心を傷つけ、のちのちの人格形成にとても大きな影響をあたえてしまうのです。
育児放棄は“虐待”の一種!
「児童虐待防止法」によると虐待は下記の4種類にわけられています。
身体的な虐待
子どもを叩く、突きとばす、上から落とす、強くゆさぶる…などの身体にあたえる暴力や過剰な肉体的しつけ。
性的な虐待
子どもにわいせつな行為をしたり、させたりすること。
育児放棄|ネグレクト
前述のとおり、保護者として子どもに必要な養育をおこなわないこと。育児に無関心だったりさまざま理由で放棄してしまうこと。
心理的虐待
子どもに乱暴で汚ない言葉をなげかけたり、極度に恐がらせたりおびえさせること。子どもが見ているまえで家族に暴力をふるうなど。
つまり肉体的なものだけではなく、子供の心を傷つけることも児童虐待にあたるわけです。子どもを無視したり無関心でなにもしないことは、暴力などとおなじく立派な「虐待行為」なのですね。
育児放棄(ネグレクト)は2種類!
さらに育児放棄には、大きく分けるとつぎの2つのパターンがあります。
消極的ネグレクト
保護者がお金をもっていなかったり、精神の病や知的障害をかかえていたり、極度に育児への知識が不足している…などの理由で育児ができないパターン。
または母子家庭などで、母親が昼夜問わず仕事に追われ、忙しくて育児の時間をとれない場合などです。
積極的ネグレクト
経済的にも時間的にも問題はなく、かつ育児に必要な最低限の知識もあり、じゅうぶんに育児ができる状況にありながら…なんらかの理由で育児をしないパターンを「積極的ネグレクト」とよびます。
つまり、やむを得ない事情で育児ができないものを「消極的な放棄」。しようと思えば育児ができる状況にあるのにあえて育児をしないことを「積極的な放棄」と区別しているわけです。
育児放棄の具体例とは?
つぎに育児放棄(ネグレクト)とは具体的にどのような行為なのかをいくつか挙げてみましょう。
⚫︎十分な食事や栄養をあたえない
⚫︎泣いていても無視して放置する
⚫︎風呂に入れたり歯みがきをしない
⚫︎毎日おなじ服を着させたまま
⚫︎病気なのに十分な治療を受けさせない
⚫︎必要な届出や事務手続きをしない
⚫︎学校や幼稚園に行かせない
⚫︎いつも必要以上に強く叱りつける
⚫︎子供の感情や要求に無関心で、親の意のままにコントロールしようとする
⚫︎スキンシップをおこなわない
⚫︎ゲームやネットに夢中で子どもを無視
⚫︎子どもを放置して遊びにいく
⚫︎パチンコ屋などで子どもを車中に放置する
⚫︎屋外に放置したり、閉所に閉じこめる
⚫︎屋内に縛りつけたり、拘束する
…などなど。
このように、文字どおりの放置・怠慢のほかにも、医療的なものや教育的なものもネグレクトにあたります。
また、子どもに愛のある優しい言葉をかけてあげることをしなかったり…必要なスキンシップをとってあげなかったり…という行為もりっぱな育児放棄といえるのです。
育児放棄の理由、きっかけ
では、育児放棄はどのようなきっかけ、どのような理由でおこってしまうものなのでしょうか?
下記に代表的なものをいくつか挙げてみましょう。
⚫︎育児への極度な疲れやストレスから
⚫︎鬱やノイローゼなど心が弱ってしまった
⚫︎うまくあやせない、泣きやまない
⚫︎子どもを可愛いと思えない
⚫︎愛しかた・接しかたがわからない
⚫︎子どもから好かれていないと感じる
⚫︎恋愛などで子どもへの意識が薄くなった
⚫︎両親が未熟。自己中心的で自分勝手
⚫︎子供の障害や難病などがきっかけに
⚫︎まわりに相談者や協力者がいない
⚫︎夫婦間がうまくいっていない
⚫︎のぞまない妊娠や出産だった
⚫︎離婚や連れ子での再婚
⚫︎親自身が幼いころに虐待を受けていた
…などなど。
このように、育児放棄にいたってしまう理由には無数の要因があります。また1つだけではなく、いくつかの要因が複雑にからみあっている場合も多いのです。
育児放棄・児童虐待の対策とは?
最後にこのような育児放棄や児童虐待を防ぐ方法を考えてみたいと思います。
まずは誰かに話を聞いてもらう
まず、もっとも手軽で効果的なものとしては“誰かに話を聞いてもらうこと”です。
気軽に他人に相談できる環境にあるひとであれば、深刻な悩みに発展するまえにストレスを発散することができますが…
妊娠・出産・育児中の母親は社会から断絶されやすく、悩みや不安をどうしても一人で抱え込みがちになってしまいます。
うまい解決方法が見つからなかったとしても、他人に悩みを相談するだけでも意外と気持ちがスッキリするものです。
ちょっと子どもにイライラしがちだな…気持ちが沈んで不安に襲われることが多いな…と感じたら、1日でも早く誰かに話を聞いてもらいましょう。
子どもから一時的に距離をおく
育児に自信や関心がなくなってきた…子どもについカッとなって手をあげてしまう…などの症状に気づいたら、一時的に子どもから距離を置きましょう。
心が弱ってしまった時は、少しのあいだでも子どものいない時間を作ることで一気に症状が良くなることも多いです。
深刻な症状になるまえに一時的に逃げることも大切な対策のひとつですよ。
1日でも早く行動する
意外なことに、まわりからは明らかにネグレクトや児童虐待がおきているとわかる状況であっても、当の本人たちはその事実に気づいていない(認めたがらない)場合が多いようです。
ネグレクトや虐待は少しずつ進行しだんだんと強度を増していきます。
ところが本人たちはその生活が習慣化してしまうため…気づいた時には不幸な結果を迎えてしまいます。
なので、自分や身近なひとの異変に気づいたら、まずは1日でも早く行動に移すことが大切です。その行動が子どもと両親の人生を救うことになるのです。
児童相談所や自治体に相談する
話を聞いてもらうと言っても、誰にでもそんな相手が身近にいるわけではありません。そんな場合は、児童相談所や自治体にある相談窓口などに話を聞いてもらいましょう。
公的な機関のほかにも、民間で相談に応じてくれる場はたくさんあります。
身近な人にはなかなか相談できないことでも、まったくのアカの他人であればかえって話がしやすいということもあります。
また(人にもよりますが)相談員はカウンセリングの教育を受けた人間が多いため、それだけで気持ちが楽になり症状が改善したという話も少なくありません。ぜひ一度コンタクトを取ってみましょう。
親や友人を頼る
自分の両親や友人に相談したり、ちょっとの間だけでも子どもを預かってもらえることができるのであれば、遠慮なくお願いしてしまうのも手です。
もちろん無責任に丸投げしてはいけませんが…ストレスやノイローゼなどで深刻な状況になってしまうよりは、まわりに助けを求めるほうが絶対に良い結果につながるはずでさす。
夫婦でちゃんと話し合う
児童虐待やネグレクトがおこる家庭では、父親の育児への無関心や不参加が原因の一部になっている場合が多いのですが…
とは言っても、やはり夫婦はいちばん身近な家族です。ふだんはなかなか話す機会がないという方は、一度しっかりと夫婦間で話し合いをする時間をとってみましょう。
ベビーシッターに依頼する
どうしてもまわりに助けを求められるひとがおらず、話を聞いてもらうだけじゃ解決しないという方は、ベビーシッターに子どもを預かってもらうのも効果的な方法です。
多少のお金はかかりますが、子どもとあなたの人生を救うことを考えれば安いもの。
またベビーシッターは育児ママの先輩であり、子どもをあやすプロでもあります。
育児に関するさまざまな悩みを相談し、アドバイスを受けることもできるはずです(逆にそれができるシッターさんを探しましょう)。
医師に相談する
あなた自身の心の異変に気づいた時は、勇気をもって専門の医師に相談しましょう。
言わずもがな、医師というのはプロ中のプロ。かならず良い解決方法をアドバイスしてくれるはずです。
とはいえ、医師にもいろいろなひとがいます。あなたとの相性が良くなかったり、あまり親身に話を聞いてくれない医師もいるでしょう。
その場合はあきらめずに、いろいろな医師に相談するようにしてください。
実はわたしの友人にも深刻な“育児うつ”に悩んでいるひとがいたのですが、医師によるカウンセリングと処方箋によって見違えるように症状が良くなりました。
ひとりで思い悩まず、できるだけ早く医師に診てもらうことをお勧めします。
気づいたひとが助けてあげよう!
もし、あなたのまわりに助けを必要としているひとや、ちょっと心配だなぁと感じるひとがいれば、ぜひ声をかけてあげてください。
あなたのそのひと声が、時には大切な命を救い、悲しい事故を未然に防ぐことができる可能性だってあるのです。
核家族化が進み、近所づきあいも希薄になった現在だからこそ…地域社会や身近なコミュニティーで、支え合い助け合いながら子育てをおこなっていきたいですよね。
電話での相談先一覧
(※2015年8月追記)
下記のページに、国や自治体、民間団体などの無料の電話相談窓口をまとめてあります。
もしもあなたが子どもに手を出してしまいそうになったら…子どもを可愛いと思えない・愛せないなどで悩んでいたら…一日でも早く相談してみてください。
きっとあなたと、あなたの子ども・家族を救う手立てが見つかるはずです。
子供をかわいく思えない時に読もう|育児放棄・児童虐待の相談先まとめ
私の知り合いに、二桁近い子どもがいて自称子育てのプロがいる。
しかし、望んで出来た子どもではないようで父親は仕事で仕方ないとしても、母親は知り合いの男性の家に入り浸っている。
外泊して帰った来ない日もある。
このコラムを読むと自称プロなので、積極的ネグレストにあたると思う。
今まで、子供達が登校拒否してきて今も末っ子が登校拒否しても「行かない子どもが悪い」という。
昼間、家に1人でいる末っ子は小学生なのに1人でガスを使って調理したりして安全も守られていない。
誰がなんと言おうと、今までそういう子育てしかしてこなかったから馬耳東風。
子どもを助けようと色々動いてみたけれど、
他人の私では相手にしてもらえず…
子どもも「私が悪いんだから、お母さん達を悪く言わないで」というし、私の話した内容をそのまま子どもに伝える。聞かせていい内容かそうじゃないか?の判断もマトモに出来ずプロだそうだ。しまいには「他人が口を挟むな」
お母さんが安心感を与えてあげたら、その子も安心して学校へ行けるのに…
田舎だし、年配者しかいないし、情報が閉鎖的な場所では私みたいな騒ぐ人間は返って悪目立ちするだけと知った。
色々な家庭があると思うので、見守っていこうと思う。
これくらいしかできないから。
ゆあさん、コメントありがとうございます。
そうですね、私の近くにもネグレストされていてかわいそうな子供がいます。
でもなかなか助けてあげられないんですよね。他人の立場だと…。
そんな中、積極的に行動を起こしたゆあさんの行為は、私は素晴らしいと思いますよ。尊敬します。
これからも近くで見守ってあげて下さいね。
私は、3歳から18歳迄養護施設で育ちました。ずっと親は居ないものだと思って生活していましたが、中学卒業間近に施設の先生から両親に会いたいか?と聞かされたときは、「何だそれ」ふざけるなよと思ったものでした。それまで親に関して何一つ聞かされなかったので、天涯孤独なんだろうなと思っていたからです。卒業後の進路など色々あったので、一応両親に会うことは会ったのですが離婚していたため、別々に会いました。私の様な親子関係というのは寂しいものです。結局父親とは施設で会っただけでその後、行き来もなく知らない所で知らないうちに死んだそうです。何処にお墓が在るのかも分かりません。母親はまだ生きているみたいですが、行き来がないので死んだ後に分かるのでしょう。何が悲しいかと言うと親が死んでも全く感情が湧かないことです。何故なら思い出と言うものが全く無いからです。それと私は積極的な独身です。何故なら子供を持たなければ子供を捨てずにすむからです。これは15歳の時に心に硬く誓った事を実践して来たからです。養護施設の事を正直に言わせてもらうと、中で生活すると派閥争いや、性的暴行などが実際に有る事をこれから施設に子供を預けようとしている親御さんには、知って置いた方がよろしいかと思います。
私は発達障害です。
育児支援を受けて今も必死で子育てに奮闘しています。
消極的ネグレクトに障害者が育児をすることを指しているような文章が見受けられ、とても悲しく思いました。
本当に色んなことをきちんと調べて書かれていらっしゃる記事なのでしょうか?
この様な記述をされては障害者の育児は全てネグレクトに当てはまると思われても仕方ないと思います。
不特定多数の方が見る場だからこそ、キチンとした情報と文章の配慮をお願いしたいです。
障害者皆が消極的ネグレクトになるわけでも、なっているわけでもありません。
あまりにも失礼な記述に意見させていただきました。
出来ればキチンと修正される事を祈っております。
コメントありがとうございます!
しっかりと読んでいただければわかるかと思いますが、文中では消極的ネグレクトが起こる原因として「保護者がお金をもっていなかったり、精神の病や知的障害をかかえていたり、極度に育児への知識が不足している…などの理由で育児ができないパターン」などがありますよ、という趣旨で書かれていると思います。
お金がないひと、知的障害のひとが、100%ネグレクトに至るとはどこにも書かれていません。ただし、これらの方が他の属性の方よりも消極的ネグレクトを引き起こす比率が高いというのは事実です。
ここではすべての調査結果は提示しませんが、そのように書かれている学術文献はたくさんあります。例えば→ https://www.daiichihoki.co.jp/store/upload/pdf/603993_pub.pdf 他にもたくさんあるので、気になる場合はご自身で調べてみてください。
なので表記は訂正いたしませんが、1つのご意見として受けとめておきますね。